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だいやのブログ

2016年2月1日
本の紹介 三秋 縋 『三日間の幸福』 他

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休みになると、しばしば大きな書店に出かけます。時間をかけて文庫本のコーナーをすべて周るのです。

四国などの出張先でも、本屋さんを見つけると立ち寄ることにしています。

アマゾンで購入するのとは違い、実際に本屋さんに出かけるわけは、まだ知らない作家さんとの出会いがあるからです。

本屋さんによってレイアウトも違いますし、平積みしている文庫本も異なりますから、そこで目についたものを手にとって本を選ぶのが楽しいのです。

そうやって本屋さんに出かけて1月に出会った本の中から、面白かったものを3冊ほど取り上げてみます。

1冊目は、三秋 縋さんの 『三日間の幸福』です。

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人生を悲観した主人公の青年は、ある組織に自らの余命を3カ月だけ残して売り払ってしまいます。その命の値段は、なんと1年につきたったの1万円。

残り3カ月の人生となってしまった青年は、やり残したことのないように、例えば仲の良かった幼なじみに会いに行ったりします。

しかし、青年が生きてきたそれまでの現実と同様に、幼なじみとの再会も、決して甘美なものではありませんでした。

その頃から、青年のなかで何かが変わり始めます。残された時間の中で、自分がやれることは何か?

もがく日々のなかで、組織の監視員であるミヤギと主人公のあいだに徐々に芽生える恋心の行方は...

2冊目は、吉村達也さんの『生きてるうちに、さよならを』です。

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叩き上げで自らの会社を一代で上場企業にした主人公の男は、自らの人生をリセットするべく生前葬をおこなおうと考えます。

その生前葬には愛情を感じることができない妻との関係にケジメをつけて、事後は愛人と人生を歩みたいという願望も込められていました。

ところが、男はその妻が癌を患い長くても余命がいくばくもないことを知らされてしまいます。

妻と愛人とのあいだで揺れ動く主人公は、妻の過去を知ることになり、そこから物語は思いもよらない方向へと舵を切ります。

思っていた内容とは、まるで異なるストーリー展開にビックリ。

ただ、この主人公の独りよがりな生き方にはまったく賛同できないのでした(笑)。

最後は、五十嵐貴久さんの『リカ』です。

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ひょんなきっかけで、出会い系サイトにはまってしまった中堅企業に勤める平凡なサラリーマン。

最後に一人だけと決めて出会った「リカ」は、偏執的なストーカーだったのです。

妻にも会社にも言えず、徐々に追い詰められる主人公の運命やいかに。

SNS(ソーシャルネットワークサービス)の恐ろしさをのぞき見るには、ちょうど良いかもしれません。

ただ、かなり残酷な描写が多いので、その系統が苦手な方にはおすすめしません。

ちなみに、当作品の発表から十数年後に続編の『リターン』が出ています。こちらも読みましたが、『リカ』だけでいいかなぁとも思います。

私が読んだホラー小説の中での揺るぎない1位は、貴志祐介さんの『黒い家』。これは恐ろしいお話でした。

結局、お化けとか幽霊よりも、生身の人間が一番怖いんですよね(笑)。

(山地 正晋)