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だいやのブログ

2015年5月1日
パッキャオ vs メイウェザー

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日本にはかつて具志堅用高というめっぽう強い世界チャンピオンがいた。

WBAライトフライ級のチャンピオンベルトを13度も防衛したのだから恐れ入る。

ところでボクシングというのは、どの階級で戦うか、つまりウエイトが非常に大きな要素を占めているスポーツだ。

どれだけ強いチャンピオンでも、階級を一つ上げただけで、それまでの戦い方ができなくなる場合が多い。

 

最近の日本の世界チャンピオンで例を挙げると、長谷川穂積選手は階級の壁にブチ当たった一人だ。

 

長谷川選手はWBCバンタム級のチャンピオンベルトを10度も防衛した名チャンピオンだ。彼は11度目の防衛戦に負けた後で、2階級上のフェザー級の王座決定戦に挑み、判定勝ちで見事にチャンピオンに返り咲きを果たしたのだが...。

 

そのチャンピオンベルトは1回目の防衛戦で奪い取られてしまった。王座決定戦の時もそうだったが、この防衛戦でも相手選手にパンチが当たってもかつてのように相手がぶっ飛ぶようなことはなく、むしろより強烈なパンチを打ち返されてKO負けしてしまったのだ。

 

ちなみに長谷川選手が10度防衛を果たしたバンタム級のリミットは約53.5キロ、フェザー級のそれは57.1キロ。3.5キロほどの差なのだが、このわずか3.5キロのウエイト差が与える影響はとてつもなく大きい。

 

 

ボクシングのウエイトを理解するには、少し知識が必要だ。

体重の計量は前日の昼過ぎに行われることが多い。

 

この前日計量をパスした後に、選手は水分や栄養を摂取する。ギリギリまで絞り込んでいた選手ほど、スポンジが水を吸収するがごとく、試合当日には体重が5キロから10キロも増えるというから驚きだ。

 

ボクシングで選手が主戦場とする階級を決定する時には、おおよそ以下の分類から選ぶことになるだろう。

 

①ものすごく厳しい減量を乗り越えて、試合当日は大幅に体を増やして体格で相手を圧倒する。デメリットは、あまりの厳しい減量に選手が持ちこたえられず、良いコンディションで試合に臨めない危険性がある。

 

②普通の減量(※普通と言っても決して素人が考えるような楽なものではない)で臨んで、試合当日も普通の増量で臨む。極端な無理をしていない分、コンディションは悪化しにくい。デメリットは①と比較すると楽をしているので、試合当日に体格では圧倒できない。

 

③あまり減量せず、試合当日もほぼそのままの体重で臨む。体調を崩す可能性がほぼないが、デメリットは試合では体重差で相手に圧倒されるリスクがある。

この分類でいくと、バンタム級でチャンピオンを張っていた時の長谷川選手は①のタイプに分類されるだろう。

普通の選手は②のタイプであり、それは①ほどまでに体を追い込むことは並大抵の精神力と体力ではできないからだ。

③のタイプは一番軽い階級を除いては、ほぼ大成する選手はいないと思われる。

 

世界戦に出てくる選手はほとんどが、①もしくは②の過酷な減量を乗り越えており、かつ良好なコンディションで試合に出てくるのだから、試合がはじまる前から彼らは「ものスゴイ」ことをやってのけているのだ。

ボクシングにおいて選手の能力を検証する時には、目に見えるパンチ力、スピード、ディフェンス、フットワークだけではなく、その選手がどのようなウエイト調整で挑んできているのかを加味すると、より一層面白みが増すのだ。

 

猛烈に苦しい減量を何度も乗り越えて、同じ階級でチャンピオンの地位を維持することは、素晴らしいことなのだ。

だからボクシングの世界での常識的な評価では、長谷川選手は稀代の名選手である。

その長谷川選手でさえ、階級を上げた途端に輝きを失ってしまうのもボクシングの必然なのである。

前置きが長くなったが、5月3日に世界中のボクシングファンが待ち望んだパッキャオ vs メイウェザ戦がおこなわれる。

 

この二人はともに複数階級を制覇している。しかもちゃんと強い選手と戦っての複数階級の制覇である。

二人がチャンピオンになってきた階級は、以下のようなものだ。

 

☆メイウェザー(5階級制覇)

 

メイ.jpg

 

173cm/37歳/アメリカ/47戦47勝(26KO)

 

スーパーフェザー級 (57.153Kg超~58.967Kg

ライト級(58.967Kg超~61.235Kg)

スーパーライト級(61.235Kg超~63.503Kg

ウエルター級(63.503Kg超~66.678Kg

スーパーウエルター級(66.678Kg超~69.853Kg

最大体重差10.886Kg(58.967Kg69.853Kg

 

 

☆マニー・パッキャオ(6階級制覇)

 

pakkyao.jpg

 

168cm/36歳/フィリピン/64戦57勝(38KO)5敗2分

 

フライ級(48.988Kg超~50.802Kg

スーパーバンタム級(53.524Kg超~55.338Kg

スーパーフェザー級 (57.153Kg超~58.967Kg

ライト級(58.967Kg超~61.235Kg)

ウエルター級(63.503Kg超~66.678Kg

スーパーウエルター級66.678Kg超~69.853Kg

最大体重差19.051Kg(50.802Kg69.853Kg

 

 

言わずもがなでメイウウェザーの5階級制覇もとてつもない記録なのだが、パッキャオの6階級制覇の記録はそれを遥かに上回る価値がある。

 

最初にチャンピオンベルトを獲得したフライ級から、もっとも重いウエイトのスーパーウエルター級まで、20キロ近くもウエイトを上げながらの6階級制覇なのである。しかもバンタム級やスーパーライト級などは飛び越してのものなのだ。

明らかに自分よりも体の大きな相手と対戦してきたのはパッキャオの方だ。

 

卓越したディフェンステクニックとスピードで相手を翻弄してきたメイウェザー、ボクシングにおけるウエイトの常識を打ち破ってきた生ける伝説のパッキャオ。

かかるタイトルは、「世界ウエルター級王座統一戦」である。


下馬評ではメイウェザーが有利とされているが、筆者はパッキャオの大ファンなので、パッキャオを応援するのである。

小柄なパッキャオの勇気を持った飛び込み、それを迎え撃つ史上屈指のテクニシャンであるメイウェザー。

どんな試合になるのだろうか。楽しみで仕方がない。

(山地 正晋)