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だいやのブログ

2015年3月6日
本の紹介 角田光代著 『紙の月』 他

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今回は2冊の小説を取り上げてみようと思う。

1冊目は、角田光代の『紙の月』 

紙の月.jpg

NHKで放映されていたドラマの原作でもある。ドラマの主演は原田知世であったが、今度は宮沢りえの主演で映画化されるらしい。

どこにでもいそうな主婦が主人公である。銀行でのパート務めをはじめたことで、彼女を取り巻く環境が少しずつ変化していき、やがて現金横領という犯罪に手を染めてしまう。

主婦は最終的に引き返すことができなくなるまでの大金を横領してしまうことになるのだが、ことの発端は実にささいな出来心である。

また彼女の内面に巣くっていた夫との生活への空虚感についても、この物語の主人公だけが持つ特別なものとは言い難い。

角田光代のお話は、いわゆる劇場型、つまり正義と悪が分かりやすいという単純なものではないし、なにか特異な状況で生きている人々が登場するわけでもない。その分、読者は主人公に自分を投影することができるので、物語がリアリティをもって迫ってくるのだと思う。

2冊目は、七月隆文の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

 

僕は明日.jpg

恋愛小説。

といっても、途中からの展開が意外性にあふれるもので、とても面白かった。

タイムリミット付きの時間軸の中で、二人はその限られた時間を精一杯に楽しく過ごそうと試みる。

二人の根底に流れているのは相手を思いやる心であり、その配慮の一つひとつが美しくて愛おしい。

主人公の男の子が通っている大学は偶然にも自分が通っていた大学(名前は違っているが)で、描かれている京都の風景にも思い浮かべられる場所がたくさんあった。(三条の映画館前のからあげ屋さんの隣のピザ屋など)

そういう意味で、京都で学生時代を過ごした方は、お話とは別のところでも楽しめると思います。

(山地 正晋)