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だいやのブログ

2014年11月1日
私立大学の学生募集の現状

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急激な少子化が進行するなかで、大学受験をめぐる様相は大きく変化しました。

代々木ゼミナールが全国に27あった拠点を7にまで減らしてしまうというニュースは、若い時分に大学浪人を経験した方にとっては、ある種の衝撃をもって受け止められたのではないでしょうか。河合塾は早くから現役高校生向けのコンテンツを提供する変革を遂げていましたが、代ゼミは旧来通りの浪人生を主なターゲットとしたコンテンツからのビジネスモデルの脱却に失敗したともいえます。

 

予備校が変革の波にさらされている一方で、大学の学生募集についても大きな変化が起きています。
はじめに、この20年ほどの間に環境がどのように変化したのか、文科省の学校基本調査等から二つのデータを引用してみます。

 

①18歳人口と受験人口の減少

18歳人口 → 1992年の205万人をピークに、2014年には118万人まで減少。

受験人口 → 1992年の92万人をピークに、2014年には66万人まで減少。

 

②大学数と入学定員の増加

大学数 → 1992年の523(国立98、公立41、私立384)が、2013年には782(国立86、公立90、私立606)に増加。

入学定員 → 1992年には473千人だったが、2011年には578千人まで増加。

 

このように30年前と比較して受験人口は71%まで減少しているにも関わらず、大学数は259(149%)も増加、同様に大学全体の入学定員も122%と増加しているのです。

 

少子化に逆行して大学の入学定員が増えている原因は、1990年代以降に文科省が大学の新設や定員増の審査を緩和したためです。新しい私立大学がたくさんできたのです。当時は大学に入学できない浪人生が溢れていましたから、この緩和政策を安易に批判することはできません。しかし少子化が進行したことで、結果としてこの政策は「大学全入時代」と揶揄される現状を招いてしまいました。

 

一部の国公立大学の入学難易度は依然として高いままですが、私立大学の学生募集に関しては大きく状況が変化したのです。

 

20年ほど前は多くの大学で試験会場の確保が自前の教室だけでは間に合わず、予備校を借り切るなどして入試を実施していました。このような決まった日程の入試(公募推薦や一般入試)を実施していれば、何もしなくても受験生が波を打って押し寄せるという時代は昔話となりました。受験料収入も激減しています。いかにして受験生、いや入学者を確保するかが大学経営上の死活問題となったのです。

 

ここから先は私立大学の募集状況について難易度順に記述します。

 

 

上位とされている大学

関西では関関同立(関西学院、関西、同志社、立命館)や、それにつづく産近甲龍(京都産業、近畿、甲南、龍谷)あたりがこのカテゴリーに分類されます。女子大学では、武庫川、同志社女子、京都女子あたりもここに属します。

 

これらの大学の多くは、付属高校からの内部進学と指定校推薦入試で3割から5割の入学者を確保しています。多い大学では60%に迫る入学者をこの二つの入試区分で確保していると思われます。あらかじめ一般の受験生を対象としていない入試区分で、入学定員の半数近くを埋めてしまい、残りの座席を公募推薦入試と一般入試での募集人員に充てることで、競争倍率と偏差値を維持しているのです。

 

内部進学の比率を上げることは、これらのブランド力のある大学にとっては有効な方法です。大学によっては附属小学校まで設置して、将来の大学入学者を囲い込んでいます。

 

 

中位とされている大学

多くの中堅大学がこのカテゴリーに位置しています。同じ大学でも学部によって差異が生じますので一概には言えませんが、おおよその偏差値でいえば上は55~下は50前後までと、数多くの大学がひしめき合っています。

 

経営規模的に附属高校を持てない大学もあれば、附属高校を持っていても生徒が上位の大学に進学してしまう(逃げられる)ケースが目立ちますので、これらの大学の多くは上位大学のように附属高校からの内部進学には多くを望めません。ですから、指定校推薦をほとんどすべての高等学校にばら撒くことになります。

 

それだけでは入学者の確保と偏差値を維持するのは不十分ですから、今度は入試の方法を工夫することになります。たとえば公募推薦や一般入試では、1回の受験で2回、3回と判定を受けられるという複数回判定方式の導入です。どういうことかと言いますと、まず受験生には2科目や3科目で受験してもらいます。①得点上位科目のみでの判定、②2科目や3.科目の合計得点での判定、③調査書重視型(調査書の数値を20倍にして得点化+得点上位1科目で判定)、など大学によってさまざまな判定方式を採用しています。

 

要するに従来であれば1人でしかカウントできなかった志願者数を2倍、3倍にしてカウントするというマジックを用いているわけです。受験生が2日間受験してくれた場合は、さらに倍の志願者数を計上できるのです。

ですから、入試データ上はたくさんの志願があるように見えても、実人数はその半分や3分の1、あるいはそれ以下だったりするわけです。

大学としては、1人の受験者を何度も志願者数にカウントすることができて、うまくいけば不合格者を出すことができるので、見た目の競争倍率も出せるというわけです。

 

※誤解のないように。どの大学も入試判定は厳正におこなっていますから、3回判定を受ける受験生を、恣意的に一つの判定でのみ合格させて、残り二つの判定では不合格にするというような不正はおこなっていません。

 

また、このカテゴリーの大学の中には、学力だけで判定を行わないAO入試という入試方法に力を入れている大学もあります。

このように、上位大学に多くの受験生を持っていかれてしまう中位の大学は、実にシビアな状況に追い込まれているのです。

下位とされている大学

なんとか中位に上がりたいけれど上がれない。これらの下位とされている大学は、全入状態です。入学定員割れが続いている状況にあって、せっかくの志願者を不合格にする理由はどこにもありません。定員割れの比率によって国からの補助金がどんどん減額されますから、なりふり構っていられないのです。

 

ですがこれらの大学が一概に悪い大学であると決めつけるのは早計です。大学の生き残りをかけて、少ない入学者をしっかりと教育して社会に輩出することで評価を高めようと懸命になっている大学もあるからです。 

 

<補足>上位大学に分類した大学のなかにも、中位大学と同様の複数回判定方式を取り入れているところがありますので、入試データはくれぐれも冷静に見てください。総じて、すべての私立大学に経営努力が求められる時代になっていると言えるのです。

私立大学選びの基準とは?

ここまで述べてきましたように、私立大学の学生募集に関してはこの20年で様相が一変しています。もはや偏差値は作られたものであることが明白なのです。

では進学する私立大学を選ぶためには、どのような点に注目すれば良いのでしょうか?

せっかく上位と言われている大学に入学したのに、横を見れば附属高校でロクに勉強もしないで上がってきたお馬鹿さんばかりという状況も十分に考えられるのです。ですから、偏差値を最重要視する大学選びはやめましょう。

それに代わる基準もしっかりと持つことが大切です。

 

①自分が学びたいことは何か

②どんな先生に教えてもらえるのか

③教職員に学生に関わろうという熱意があるか

この3点を重視してください。


 

興味を持った大学のオープンキャンパスに参加して、実際に教えてもらう先生方と相談ブースで話すという確認も必須です。

最後になりますが、どの大学に入学しようとも、努力をする学生は大きく伸びます。逆もまた然りです。入学後のキャンパスライフが真に充実したものになるかどうかはそれぞれの学生次第なのです。

                                                                                           (山地 正晋)