株式会社だいや

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だいやのブログ

2014年7月15日
国東(くにさき)時間

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確か今年の1月末だったように記憶している。家で見ていたNHKのテレビ番組で、「国東時間」という耳慣れない言葉が飛び出しました。

「くにさき時間?」

気の向くままに番組を見つづけてようやく意味が分かりました。

"これまでの労働のやり方を見直して、プライベートの時間を十分に確保することで心身ともにリフレッシュをしたり自己研鑽をしましょう。それを仕事に還元しましょう!"

 

という試みのことを国東時間というらしく、これが大分県の国東を中心に広がりを見せているのだそうです。

なんのことか分からないという方に向けて具体的な話をします。

労働基準法が定める労働時間は、残業を除けば基本的には週に40時間以内でです。月曜日から金曜日までの5日間を8時間ずつ働いて、合計で40時間とするのが一般的です。

ところが国東時間は、この40時間を思い切って再配分してしまおう!という実に革新的な取り組みなのです。

番組では1日10時間労働の週4日勤務制度を導入した会社が紹介されていて、導入以前よりも業績が良くなったといいます。

これを見た視聴者の中には、「え~!?これはスゴイ!自分も国東に移住して夢の週休3日生活を!」と思った方がたくさんいたと思われます。

しかし、そう簡単に国東時間を導入している会社への転職がかなうはずがなく、変わらない日々に向き合うしかないのが大多数の方々の現実なのです。

そうは言っても、"夢の週休3日生活"はあまりにも魅力的なので、私などはしばし空想にふけってみるのであります。

仮に我が社で国東時間を導入するとしたら、どのような条件が必要になるのかを想像してみましたら、だいたい以下のようなことに思い当たりました。

①仕事の性格上、営業日はこれまでどおり月曜日から金曜日をキープしなければならないのでシフト制が必要

②労働時間は朝8時から夜7時までの10時間労働とする(昼休み1時間)

③誰かが1日出社しない日の仕事の穴埋めを、現状の社員数でこなさなければならない

これだけの条件をクリアできれば、理論上は我が社でも夢の週休3日制が実施できるのです。しかし、上記③番のハードルはかなり高いと思われます。

具体的には、

①営業部では、得意先の信頼が高くスキルも高い課長にかかってくる膨大な電話を誰が代わってこなしていくのかという課題

②業務部では、現状よりも1名少ない人数で仕事をまわすためには、相当に効率の高い仕事を追求しなければならないという課題

これらのハードルをクリアしなければ、「夢の週休3日制」の導入は「お客様のクレームや不満」を招くだけの結果となり、最悪の場合は倒産してしまって「社員の全員が毎日休み」というかなり香ばしい事態(笑)となって、我が社は立売堀の笑いものになってしまうのであります。

経営者が、

「国東時間を導入しても売上や利益が上向くビジョンは描けないけど、残業代がなくなりそうだし、やってもいいんじゃないかな」

というような浅さかな考えでの導入にはリスクしか感じることができません。

一方で社員の立場でも、

「休みが増えてラッキー♪ だけど自分は今までどおりの働き方でいいや」

という考えの人が一人でもいれば、少数精鋭を目指すしか選択肢がない我が社は確実に傾いてしまいます。

国東時間の導入の絶対条件は、「社員全員の意識も含めたスキルアップが確認済みであること」だと思います。

私には政府が提唱する多様な働き方や残業代の廃止議論、ここにきて言い始めたウィメノミクス等は、決して国民の立場に立ってのものではなく、企業の人件費削減に軸足を置いているように見えています。

格差社会をますます助長しかねない政策議論の根底には、シビアに進行するグローバル化と資本主義経済の行き詰まりとも捉えられる状況の中で、日本企業の国際競争力が下がり続けているという現実があるのだと思います。

国東時間の本質とは、

「会社と社員のしっかりした信頼関係が成立している中で、社員全員参加で生産性を上げる努力をし、結果として会社の業績も社員の生活も良くなっていく!」

というものだと思います。

実際に「国東時間」を導入できるかできないかは別として、企業の利益と労働者の収入や生活の安定が相反する時流にあっての「国東時間的な会社と社員の良好な関係構築」というベクトルは、なかなかセンスが良いと思うのです。

厳しい時代を生き残っていくヒントがここに一つあるような気がします。

                                                             (山地 正晋)